ピネストが大切にしていること

 以前、静岡の三島にある設計事務所に勤めていて住んでいたことがありまして、
そのアパートのキッチンの窓から富士山が見えました。
毎朝、その窓から富士山を見るのですが、それが素晴らしいわけです。
富士の姿は毎日変わる、毎日見てても飽きなかった。

その頃はアパートには夜遅くに寝に戻ってくるだけの生活だったので、
出勤前のほぼ同じ時間しかその窓の前に立たないのだけれども、
富士山は見るたびに違った色を見せてくれていました。季節の移ろい、
富士山を覆う木々の色も変わる。
毎日天候も変わる。
温度や湿度が変われば光も変わる。
雲の形も。

そういった窓から見える全てが富士山を毎日、というより見るたびに違って見せているわけです。
当たり前と言えば、当たり前のことですが、でもそのたびに私の気持も変るわけです。

今日は見えなくて残念とか、殊の外美しくて良かったとか。
それだけで結構気持ちがスッキリしました。

朝から夜遅くまで図面とニラメッコしてるだけの毎日では、
それがあったから続けられたのかなと今は思うほどです。

三島ですから、富士山はアパートから北にみえます。
木造2階建て外階段のよくあるアパートですが、
当然敷地に賃貸効率よくしようと配置されて
部屋を明るいほうに配置してるので外廊下、
玄関は北になって玄関の並びにキッチンがきて、そこに小さな引き違いの窓がある。
よくある間取り。
富士山を見るためにつけた窓というわけではないと思います。
富士山を特別意識していない。
でも富士山が北側にあるので南から見ると富士山に良く陽があたるので、
とても効果的に美しくみることができます。

それで毎朝顔を洗いに(洗面台はなかった)キッチンの前に行くと自然と富士山を見る。
都心のマンションで同じフロアーで富士山が見えるか見えないかでかなり金額が違うらしいですが、
三島だとどこからでもよく見えるからでしょうか、
それが理由でアパートの家賃に差は無かったように思います。

都心のマンションでは富士山が見えることが特別だから金額に差が出るというわけです。

それはさておき、私のアパートから見えるのが富士山では無くて、
名もない裏山、もしくは柿の木、もしくは空だけだったらどうだったのかと考えますと、
それでも同じように今日の天気は晴れて気持ちいいなとか、
雲がきれいだなとか思ったと思います。

何も意図せずに、ただつけた窓でも毎日そこから外を自然に見るならばこそ、
暮らしの中の自然な行動であるならばこそ、その窓の持つ意味は大きいと考えます。

私のアパートのキッチンの北側の窓も
その辺を良く考えてデザインされていればもっと良かったと思うわけです。

住宅は非常に高価である故の特別な意味を持ちますが、
そこでの日々の暮らしは普通の日常です。

もちろん住宅に様々な特別を求めることを否定はしませんが、
普通の日常から得られる豊かさに良く目配りして住宅は建てないといけないと思うわけです。

富士山は特別な景色でしょうが、普通の暮らしの景色は特別ではないと思いません。
住まう人の笑顔も、
穏やかな時間も、
光も空気も暮らす人の気持を変えます。

そのような
普通でもあり、だから特別な暮らしのために住宅はありたいと思いますし、
そのようにデザインしていこうと思います。

ピネスト(Pinest)の意味はお客様に
喜び(Happiness)をお届けする理念のこと。

お客様がHappinessを感じる、ハッ(Ha!)とする気づきを実現、
サポートするのが(Pinest)という思いを込めて社名にしました。

暮らしの景色の豊かさを日々感じていただけるように
気づいていただけるように住宅を提供していきたいと思います。

代表取締役 鷹野美知弥