木造2階建て(SW工法)
延べ面積 101.40㎡(30.6坪)
耐震等級3 +制震構造
断熱性能 UA値=0.40W/㎡・K
気密性能 C値=0.37㎠/㎥
認定低炭素建築物
ホウ酸防蟻処理
漆喰壁
無垢フローリング
熱交換型24時間換気システム
プラン説明
-
「木づかいの家」はオーナー様が命名されました。オーナー様が無垢の木材に愛着があり、ご自身でも木工を趣味とされています。当社ショールームにある本棚を見ていただいたのがきっかけでお声かけいただきました。
今まで、戸建てやマンションなど様々なタイプの住まいに暮らしてこられて、目黒区の閑静な住宅街にお住まいでしたが、購入された家が今後のライフスタイルに合わないために、リフォームを検討中とのことでした。
当社に相談に来られて、現地を拝見し、打合せを経て、G2クラス、耐震等級3以上の高性能住宅で建て直しをすることになりました。 -
計画にあたっては、何回かのヒアリングと提案をさせていただき、高性能は基本として、外観は街区に自然に溶け込み、インテリアは自然の素材を主として、特に趣味である “無垢の木を作り付け家具などに随所で使っていきたい” というご希望が主なテーマになりました。さらに完成後、ご自分で作られた木工細工、家具等を楽しめるように配慮してもらいたいとのことでした。
それらのご希望を踏まえ、設計する上で気を付けたことは、全体的に木のぬくもりを感じつつ、無垢の木の家具等がすっきりと配置されて、見た目にも、機能的にも互いに邪魔せずに、それぞれが形よく納まるようにこころがけました。使用した木材はオーナー様からのご紹介で「信州・黒姫のとっこやさん」にオーナー様と一緒に直接買い付けにいけたことで、より満足のいくものができたと思います。 -
玄関まわりは、オーナー様ご家族がジョギングをされるので、ウインドブレーカーに着替えたりするために、広めのシュークロークを設けました。外には靴の泥を落とす水栓も用意しました。
1階は各個室が主となり、洗面、浴室等は機能優先で計画されています。
主寝室に併設する形で、ご主人のテレワーク用書斎が設けてあります。書斎の机は懇意にしている近所の方が、新築にあたりご厚意で譲り受けた欅(けやき)の一枚板を利用させていただきました。長手方向の壁面全面に書棚を設け、寝室との間は特注の障子で仕切り、落ち着いた雰囲気で且つ閉塞感の無い仕様となっています。オーナー様の遊び心で、玄関ホールへの出入りがお茶室の躙り口(にじりぐち)となっているところもポイントです。 -
バルコニーは対面家屋との視線を避けるために手すりが高めとなっていますが、一部、奥行を広くとることでゆとりを持たせています。その部分は屋根がかかっていますので、物干しとしても外から見えず、いつでも利用できます。
そして、2階のメイン空間は、大きな杉の一枚板のダイニングテーブルと本棚をメインとした、漆喰とレッドシダーの勾配天井で囲まれた気持ちの良いリビングダイニングです。南面外部との間に多目的なフリースペース(サンルーム)がワンクッションあることで、柔らかで落ち着いた雰囲気を得ています。23区内の住宅地では、なかなか道路面以外に有効な開口部を設けることは難しいですが、北面トップライトと東面ハイサイドライトを1年を通しての太陽光線の入り方をシュミレーションした結果、ハイサイドライトを選択して設置しています。このことで、室内の快適性を損なうことなく、日々の天候の移ろいを室内で柔らかく感じられるようにしました。ハイサイドライトの縦枠を無くし、漆喰壁の角を曲面にすることで、室内に入る陽の光がより一層柔らかさ生むようにしました。ちなみに窓台は栗の木です。
キッチンは北側斜線制限により下がった天井を逆手にとり高所の収納は作らず、奥様のデスク(銀杏)・食器収納・作業台と配置し、パントリーとのスムーズな動線も生かした機能的なプランとなっています。システムキッチンはご要望により、特注ステンレスのトップとキャビネットは大工さんによる現場づくりとしました。基本的に扉が無くオープンで、キャビネットの棚の奥も壁面との隙間を空けることで、湿気がこもらないようにしています。暮らしていく中で必要があれば、引き出しなどの追加が自由にできるのも良いところです。キッチン家電等を置くカウンタートップはステンレスとしていますが、他は 無垢の木に統一し、全体のバランスをとっております。無垢の木の蜜蝋仕上げの取り扱いなどは、ご説明し、納得された上で、今後ご夫妻でいろいろと工夫をして使っていくことを楽しみにされています。2階の洗面台は1階とは違って、雰囲気を優先し、厚手のクルミの板としました。トイレの入り口の前にオーナー様のご提案で目隠しを兼ねたドアホン、給湯リモコンのコーナーを設置。コルクボードを張って、メモをピン止めできるようにしました。打合せをかさねることで、このようなご提案をオーナー様からいただけることはとても嬉しいです。
設計理念
外観
外壁は麻炭入りのジョリパットで当社オリジナルカラーとなります。街区の中、静かな存在感を醸し出すブラウンベージュを元に、カラーサンプルを数種作りオーナー様と現場で選びました。
バルコニーの手すりの高さは、道路に面してはいるのですが、対面の家の2階との視線のぶつかりを考慮して高めに設定しています。またバルコニーのボリュームを大きくしたことで、外観に重厚感と安定感を与えました。今後、植栽が大きくなることで、植栽との対比でより質感がアップするのが楽しみです。エントランス、アプローチ内の自転車の配置や庭の植え込み用土の範囲、ゴミ置き場、そして、各種メーター検診の方法、外からの視線の検討等、納得のいくまでオーナー様と互いにプランのやりとりをさせていただきました。
レッドシダーの吹き抜けリビング
高天井の広々としたリビングは、レッドシダー(天井)、レッドパイン(床・オーダーメイドの書棚)、ナラ(床)、スギ(ダイニングテーブル)、ヒバ(キッチンカウンター)、クリ(窓枠)など。木がお好きというお施主様に合わせ、多種多様な木をふんだんに使用しています。木の自然な表情を感じられる、気持ちの良い空間です。