木造2階建て(SW工法)
延べ面積 149.04㎡(45.0坪)
耐震等級3 +制震構造
断熱性能 UA値=0.45W/㎡・K
気密性能 C値=0.36㎠/㎥
認定低炭素建築物
準耐火建築物
ホウ酸防蟻処理
第一種熱交換型換気システム(ダクトレス)
防火サイディング外壁材
防火サッシ(樹脂+アルミハイブリッド)
プラン説明
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いわゆる旗竿敷地での2世帯住宅の計画です。
旗竿敷地では、その形状の竿の部分は通路として利用するので、その分の床面積が旗の部分に使えることになりますが、そうすると旗の部分に立つ建物が大きくなって、建物周囲の隣家との間隔がどうしても狭くなってしまいます。
軒の出も小さくせねばならず、雨仕舞(あまじまい)やメンテナンスなどにより一層の注意が必要です。
その他、採光・通風・防犯・眺望などの検討もハードルがあがります。
でもそれらは他の都市型狭小住宅でも多くある課題ではありますが、それらに加えて2世帯住宅となると「親の世帯」「子の世帯」のそれぞれのライフスタイルの違いを、どのように両立させるかが大きなポイントです。 -
さらにこの計画は建て替えでしたので、3世代前からの長いご近所づきあいもあり、そこにも配慮も必要でした。
東京の古い住宅密集地でよくあることですが、隣地の上下水道、ガス管等が計画地を通っていることもありますし、隣地の塀や建物の一部が入り込んでいることもあります。
あと井戸が出てきたり、しかもそれが現在でも隣地から利用されていたりと、既存の建物を解体していたら初めて分かった、なんてこともあります。その都度、隣地の方とのご相談を重ねて解決していくことになります。
たまに、隣接地境界に高い塀を巡らせて、その中でそこに住まう方だけの空間を作り出す手法を見ますが、近隣の方々との関係性はどうやっているのか少し心配になったりします。
この計画では、様々な問題を近隣の方々と話し合っていると、そこに3世代前からのご近所の歴史(思い出や、これからの関係)が見えてきて、そのようなコミュニケーションも計画するのに役立ちました。3世代続いてきた縁、近隣の方々との縁、またこれから住み続けていくことの縁(ゆかり)を強く感じた計画でした。 -
配置計画は、幸いなことに東南面が小さいながら区の防災広場に面していて、ある程度日射取得もできますし、空への視線も通すことができるのが良かったです。広場には桜の木があるので、春には大いに楽しめるのもいいですね。
年配の世帯はバリアフリーも考慮して1階ですが、防犯性を高めながら落ち着いた生活感が出るように外からの視線や中からの眺めに注意して計画しました。2階は若い世帯の暮らしなので、より快活に明るいライフスタイルをイメージしました。
寝室の一部をテレワーク用エリアとして計画してます。限られたなかでの収納は、ファミリークローゼットや玄関階段下の利用、階段上の空間にたっぷりのパントリーを作りました。
それと、準防火地域の新防火区域ということもあって、外壁面等は、より高い耐火性能の材料を選択しています。
設計理念
1F世帯のリビング・ダイニング
1階世帯は、オーナー様のご要望で広々とした空間を優先した2LDKです。
一角に耐震用の柱や耐震壁を設けつつも、耐震等級3を取得した広い空間を叶えました。リビング・ダイニングには、公園に面した左側と南側に大きな窓を設け、朝からたっぷりと陽の光が入ります。春には、リビングの窓から公園に咲く桜を楽しむことができ、日々季節の移ろいを感じながら穏やかな時間を過ごすことができます。窓は防犯を考慮してシャッター付き。防火地域ということもあり、防火サッシを施工しています。
2F世帯のリビング・ダイニング
2階のリビング・ダイニングも、東面の窓から公園に咲く桜を眺めることができます。南面は隣の建物の窓と目線が重なってしまうため、窓を少し高い位置に施工して目線が合わないように配慮しました。窓サッシは樹脂とアルミのハイブリッドの防火サッシを使用しています。壁面はクロス張りで、南面のみグレーのアクセントカラーを入れて北欧ナチュラルな印象に仕上げました。
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